24時間ずっと一緒。夫婦で起業、共に働くことで信頼を深める杉岡 侑也・千草 夫妻
万一があっても義家族を支えられるか。自分の人生に誰かを巻き込むことに責任を感じた
- 森本
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借金を返済したとはいえ、まだ杉岡さんの経済状況は不安定だったと思います。そんな状況にある杉岡さんと結婚することに、紀さんは不安を感じていなかったんですか?
- 紀
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結婚前、お金の話は、そんなにしていなかったんです。「オフィスに居候しに来るくらいだから、厳しいんだろうな」とは思っていました。
- 杉岡
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「厳しい」なんてものではなかったですね(苦笑)
- 紀
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でも、彼は何か持っているじゃないですか。だから「今の会社が潰れても、何とかするんだろうな」という根拠のない安心感はありました。
- 杉岡
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自分の方が不安を感じていたかもしれません。実は、自分の人生に誰かを巻き込むことに、トラウマがあります。最初に起業したとき、仲間を1人失ったんです。働いていた会社を辞めさせてまで「一緒にやろう」と引っ張ってきたんですが、起業から半年で再起不能に陥らせてしまいました。その責任を今でも強く感じています。
ですから、結婚しようと決めたとき、妻に対する責任はもちろんのこと、自分の人生に巻き込むことになる千草の両親のことも考えてしまいました。
というのも、自分の両親は「私たちに万一のことが起きても、残された家族が暮らしていけるように」といろいろ考え、不測の事態に備えてくれているんです。自分は長男で、千草も長女です。自分の両親が備えてくれているように、千草の家族に万一のことが起きてしまったときには、自分たちが残された家族を支えていかなくてはいけません。千草の両親にどのくらいの貯金があって、どんなライフプランを考えているのか、結婚前に詳しく聞きました。
自分1人だったら、今も突っ走るだけの性格だったかもしれません。やはり千草と結婚することになり、慎重に考えて行動する面も出てきたように思います。
“ずっと”一緒にいるからこそ、パートナーの日々の成長に気付くことができる
- 森本
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入籍されたのは2018年の8月。MiLを創業されたのが同じ年の1月でしたよね。
- 杉岡
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そうです。はじめは僕と千草とシェフの3人で立ち上げました。
- 森本
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お2人は基本的に、いつも一緒に過ごしているんですよね。
- 杉岡
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ずっと一緒にいます。
- 森本
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週末も?
- 紀
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週末も一緒です。
- 森本
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私なら、夫と“ずっと”一緒は無理ですね(苦笑)。「会いたい」「一緒にいたい」という気持ちはありますが、“たまに”一緒にいるくらいがちょうどいいんです。
- 杉岡
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“ずっと”一緒にいれば、パートナーのちょっとした成長に気が付けるようになります。自分の成長を千草に感じてもらえますし、逆に自分も千草が働く姿を見ながら、毎日・毎週「こういう発言をできるようになったんだ」「こんな風に考えるようになったんだ」と驚かされています。
それこそが、自分たち夫婦が上手くいっている秘訣なんだと思います。仕事の話もよくしていまして、千草は興味を持って聞いてくれるんです。最近は千草なりに「こう思う」という答えをしっかり返してくれるようになり、公私ともに噛み合い、より一層、信頼し合える関係になってきました。