24時間ずっと一緒。夫婦で起業、共に働くことで信頼を深める杉岡 侑也・千草 夫妻
居候先のオフィスで出会い、交際3日間で同棲に。それから「ずっと一緒」
森本 千賀子(株式会社morich 代表取締役。以下、森本)
- 森本
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家庭でも職場でも、お2人はいつも一緒に過ごされているそうですね。お2人は、どんな出会い方をされたのでしょうか。
杉岡 侑也(株式会社MiL 代表取締役社長。以下、杉岡)
- 杉岡
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自分は24歳で最初の会社を起業し、「右も左も分からない」「お金もない」「仕事もない」といった状態からスタートしました。
案の定、しばらくすると事業は暗礁に乗り上げてしまい、「給料日は明日だけど、支払うお金がない」という絶望的な経験をすることに。当時は家賃を支払うお金もなく、出勤するオフィスもありませんでした。そんなとき、顧問になっていただいた先輩経営者に「私のオフィスを使えばいいよ」と声をかけていただいて、オフィスに居候させていただけることになったんです。
千草とは、そのオフィスで出会いました。居候先のオフィスに、金曜日だけ出勤する謎の美女だったんです(笑)
杉岡(紀) 千草(株式会社MiLコミュニケーションマネージャー。以下、紀)
- 紀
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時は週4日、訪問介護の仕事をしていました。残りの週1日だけ、そのオフィスでママ向けメディアの運営に携わっていました。
- 杉岡
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出会って3カ月くらいは「近くの席で仕事することもある」くらいの関係でしたね。そのオフィスで働くメンバーが集まって、バーベキューを開いたことがきっかけで親しくなりました。3日後くらいには、もう千草の家に転がり込んでいましたね(笑)。
- 紀
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それから、ずっと一緒にいます。
- 杉岡
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自分にとってMiLは3社目の起業になります。「どうやったら人は豊かに生きられるのだろうか」という問題意識をずっと持っていまして、1~2社目を起業したときは「人が豊かに生きられる」ように、HR(人事・人材)関連のサービスを手掛けていました。
一方、千草も保育士 兼 介護士として働く中で、幼稚園・保育園で働く職員の働き方に縛りが多いことに疑問を感じていたそうです。「一生懸命に働く人が、多様な選択肢の中から自分に合った働き方を選べるようにしたい」という想いを持っていました。
話をするうちに、そんな熱い想いを持っている女性なんだと驚きました。すごく共感しましたし、すごく素敵だなと惹かれ、一緒に過ごすようになったんです。
事業が軌道に乗り、プロポーズーー旅行好きだから、地球儀と世界一周旅行チケットを贈った
- 森本
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「この人と結婚しよう」と意識するようになったのは、いつごろからでしょうか?
- 杉岡
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同棲を始めたころから意識していました。
- 紀
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私も早くから意識していました。交際を始めた当時は25歳を過ぎたころ。学校の保育科で一緒に学んでいた友人たちに、結婚ラッシュが訪れていました。
ただ、結婚ラッシュのピークは超えていたので、「結婚できるならしたいけれど、何年か後でもいいか」と諦めの気持ちも芽生え始めていました。
それでも、「結婚したい」という思いがつい口に出てしまっていたのか、彼からは「『結婚』の話ばかり言われる」とよく愚痴られていましたね(苦笑)。
- 杉岡
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千草の家庭は、お母さんが若いころに出産・子育てしていたので、焦ってしまっていたのかもしれません。長女の千草が産まれたのは、お母さんが23歳のとき。30歳を迎えたころには、3人の子どもに恵まれていたそうです。
- 紀
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母親のこともあったので、かなり意識していましたね。保育科のころからの友人も、出産経験者が多くなっていましたから。
- 森本
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でも、当時の杉岡さんとしては、まだ事業が軌道に乗ったと安心できる状況ではなかった。「結婚しよう」という意思はあったけれど、男として、「結婚は事業がしっかり軌道に乗ってからだ」と思っていたんですかね。
- 杉岡
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そうですね。自分自身、昔から結婚願望は強い方だったと思います。自分の両親はいまだに仲が良く、週末に2人でデートするほど。そんな家庭で育ったので、自分も仲の良い家庭を築くことに憧れを抱いていて、「いずれ良いパートナーと出会って、仲の良い家庭を一緒に築いていきたい」とずっと思っていました。
ただ、自分にとっては「人生ベンチャー」です。これからも、起業家として歩み続けていくことは間違いありません。24歳で最初の会社を起業した当時、「これから3年間、結婚は考えないようにしよう」と決めていました。交際を始めたころは、まだ3年経っていませんでした。創業資金として借りた借金も抱えていたので、すぐに結婚を考えることはできませんでした。
そう考えていることは、千草にそれとなく伝えていたんですが、交際を続けるうちに1社目の起業から3年が経ち、ちょうど自分たちが交際を始めた記念日がやってきました。借金も返し終わったので、千草としては「そろそろかな」という気持ちになっていたと思います。
けれど、まだ貯金はなくて婚約指輪を買えず、プロポーズの準備が何もできていない。そこから2カ月かけて指輪を買って準備をして、プロポーズした5日後には入籍しました。
- 森本
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プロポーズしてからは早いですね。どんなプロポーズをしたんですか?
- 杉岡
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プロポーズするなら、思い出を振り返りたいときにすぐ行ける場所がいいなと思って、都内のホテルを選びました。
ホテルのレストランで食事をした後、予約しておいた部屋に移動して、そこで指輪を入れた大きな箱を開いてプロポーズしたんです。2人とも旅行好きなので、地球儀を用意しておいて、手書きで作った「世界一周旅行チケット」も指輪と一緒にプレゼントしました。
佐藤 茂(タメニー株式会社(旧株式会社パートナーエージェント) 代表取締役社長。以下、佐藤)
- 佐藤
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今、しっかりとシチュエーションを整えてプロポーズする人が、ほとんどいなくなりましたよね。そこまで考えてプロポーズする人は、少ないと思います。