プレメンスシンドローム(月経前症候群)の症状と原因!最適な治療法とは
生理の予定日前に、イライラしたりお腹が張ったりしたことはありませんか?
生理前に起きる心や体の変化は「プレメンスシンドローム(月経前症候群)」と呼ばれる病気の症状です。
なんとなく名前は聞いたことがある女性は多くても、実際にプレメンスシンドロームの症状や原因を知っている人は少ないはず。
そこで今回は、意外と知らないプレメンスシンドロームについて解説。症状を和らげる生活習慣や治療法についてもお教えします。
目次
プレメンスシンドローム(月経前症候群)とは
プレメンスシンドローム(月経前症候群)とは、生理前に女性の心や体に起きるさまざまな不快な症状のことを指します。
プレメンスシンドロームは英語名で「premenstrual syndrome」と書き、近年ではPMSと略されるともあります。
プレメンスシンドロームのは生理が始まる3日~10日前に症状が出始め、生理が始まると共に症状が収まったり弱くなったりすることがほとんどです。
プレメンスシンドロームの主な症状
プレメンスシンドロームには、以下のような症状があります。
・精神的症状:イライラ、抑うつ、不安感、不眠、無気力など
・身体的症状:頭痛、腹痛、腰痛、胸の張りや痛み、眠気、むくみ、体重増加など
上記に挙げたのは代表的なプレメンスシンドロームの症状ですが、実際には200種類以上の症状があると言われています。また、プレメンスシンドロームの症状の強さや種類は、人によってもバラバラです。
プレメンスシンドロームの症状が起きても、普段の生活に大きな変化がなければ特に問題はありません。ただし、症状が強く日常生活や社会生活に悪影響を及ぼすのであれば、きちんと治療を受けるべきです。
プレメンスシンドロームが起きる原因とは
生理中の女性の中でも特に20~30代の女性に多いとされる、プレメンスシンドローム。しかし、プレメンスシンドロームの直接的な原因は、いまだに分かっていません。
以前は、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の量やバランスが原因だと考えられていましたが、研究を進めるうちにホルモンの血中濃度と症状には関連性がないということが判明しました。
最近では、自律神経の乱れがプレメンスシンドロームの原因ではないかとの研究が進んでいます。自律神経は身体や精神状態に非常に深く関わっている神経のため、さまざまな症状が出てしまうのかもしれないとのです。
プレメンスシンドロームは病院で診断&治療すべき?
生理前に心や体の不調が現れても、自分自身でプレメンスシンドロームかどうか判断するのは難しいもの。
またプレメンスシンドロームに長年悩まされている人なら、きちんと病院で治療を受けたいと思うはずですよね。
そこでここからは、病院ではどんな診断方法が行われているのかや主な治療法について紹介します。
プレメンスシンドロームの診断基準
米国産科婦人科学会が定めるプレメンスシンドロームの診断基準は、以下の通りです。
1.過去3回における生理周期の生理前5日間で、身体症状(お腹の張りやむくみなど)や精神症状(イライラや不安など)のうち、1つ以上の症状が存在している
2.生理開始後4日以内に症状が収まり、13日目まで再発しない
3.病院で処方された薬やアルコール使用が原因の症状発症ではない
4.その後2周期に渡って症状が出る
5.社会活動や学業、仕事などに対して明らかに支障が出ている
婦人科ではPMSかどうかを診断する基準は、症状が発症するタイミングや期間、症状における周囲への影響などが重要視されています。
過去3ヶ月間において生理前にさまざまな症状が起きている人は、まず婦人科を受診してみましょう。
また、上記の診断項目に当てはまらなかった人は精神疾患の可能性があるため、心療内科やメンタルクリニックの受診をおすすめします。
プレメンスシンドロームの主な治療法
病院でプレメンスシンドロームと診断された場合、生活指導のほかに必要と判断されれば薬物療法が行われます。
婦人科で主に使用されるのは、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の配合薬や低用量経口避妊薬(ピル)です。これらの薬はホルモンバランスを整えるほか排卵を抑制するはたらきがあるため、生理前後の症状を和らげるとされています。
またプレメンスシンドロームの各症状に合わせた薬も処方されます。例えば頭痛や腹痛など痛みが強く出る症状の場合は鎮痛剤、不安感やイライラなど精神的な症状が強い場合は抗不安剤、むくみがひどい人には利尿剤などです。
また、その人の各症状や体質に合わせた漢方薬が処方されることもあります。
プレメンスシンドローム改善に役立つセルフケア
プレメンスシンドロームは原因が分かっていないため、病院で治療を受けても完治するとは言えません。しかし、プレメンスシンドロームに悩まされている女性にとってはできるだけ症状を和らげたいと考えているはず。
そこでここでは、プレメンスシンドロームの症状改善に役立つとされるセルフケア方法について紹介します。
有酸素運動
過去にプレメンスシンドロームと診断された人が1日20分のジョギングを週3回ペースで3ヶ月間続けた結果、運動しなかったグループに比べて身体症状や精神症状に大きな改善が見られたという実験結果があります。
ジョギングやウォーキングなど軽い運動となる有酸素運動は運動初心者でも始めやすく、健康面での改善にも役立ちます。デスクワークが多く運動不足な女性は、無理のない程度に有酸素運動を取り入れましょう。
アロマセラピー
精油によって心や体を落ち着かせるアロマセラピーは、日本人女性17人を対象とした実験でプレメンスシンドロームの精神症状を和らげたという結果が報告されています。
実験ではラベンダーやゆずなどの香りが使用されましたが、自分が落ち着く好きな香りをかぐのもおすすめです。イライラや不安感が強い人はぜひアロマセラピーを行ってみてください。
食生活の改善
プレメンスシンドロームと診断された女性の食習慣を調べた実験では、1日3食しっかり食べていない人や脂質や糖分を摂りすぎている人が発症しやすい傾向にあったと報告されています。
またビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンDの栄養素を多く摂取している人ほどプレメンスシンドロームの発症率が低いという研究結果もあります。
偏った食生活はプレメンスシンドロームだけでなく、さまざまな病気を引き起こす可能性があるため、食事には注意が必要です。
1日3食バランスの良い食事を心がけることで、プレメンスシンドロームを改善できるかもしれません。
PMSダイアリーをつける
プレメンスシンドロームに悩まされている人は、生理が近づくたびに不安を感じてしまいがち。「PMSダイアリー」は、精神的または身体的な不調のケアにおすすめの方法です。
PMSダイアリーには、以下の項目を記入しておくと便利です。
・日付
・体重
・基礎体温
・主な症状
・経血の量(生理後)
・生理周期(生理開始日を1とする)
自分はいつどんな症状が出るのかを知っておけば、正しい対処法ができて症状がひどくなることもなくなるはず。また、PMSダイアリーを付けることで安心感が生まれるため、精神的な症状も和らぐかもしれません。
プレメンスシンドロームの症状に合わせたセルフケアも大事
プレメンスシンドローム(月経前症候群)のメカニズムははっきりと分かっていないものの、そのまま我慢していると重大な病気に繋がる恐れもある症状です。
病院では症状を和らげる薬物療法も行われているため、日常生活に支障をきたしている人は一度婦人科への診察をおすすめします。
また病院での治療だけではなく、運動習慣や食生活の改善など自分自身でできる症状の改善方法もあります。
プレメンスシンドロームの症状に悩まされている女性は、今回の記事を参考に日常生活でできることも取り組んでみましょう。