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育児しないのはもったいない!メリットの方が多い「男性の積極育児」

親が生き生き働く姿を見せること。親が思う以上に、子どもは親の姿を見てくれる

森本 千賀子(株式会社morich 代表取締役社長。以下、森本)

森本

「背中を見せる」のではなく「正面を見せる」つもりで子どもに接する――という髙木様の子育て論を伺って、私は背中すら見せていなかったのではないかと反省してしまいました。

私は子どもを保育園に送り届けた瞬間から仕事モードに入ってしまうんです。職場のデスク周りに子どもの写真を置く人もいますが、私は一切置いていません。

そして保育園に子どもを迎えに行ったら、スイッチを切り替えます。逆に、子どもと過ごしている間は、職場からの電話には一切出ないんです。

仕事と育児を完全に切り離しているので、仕事する姿を子どもに見せてきませんでした。

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でも、次男が小学3年生の時、宿題で「20年後の私」というタイトルで作文を書くように言われ、彼は「ママのようなサラリーマンになりたい」と書いてくれたんです。

続きを読んでみると「ママは朝出かけて、会社というところに行くらしい。僕たちが帰りを待っていても、『21時に帰る』と言ったのに22時まで帰ってこない。だから、会社というのは僕の大好きなディズニーランドのような場所に違いない。ママは仕事が楽しいから、家になかなか帰ってこないんだ。僕も早く大人になって、ママが毎日行っているディズニーランドのような会社に行きたい」といった内容が書かれていました。

子育てに関して反省するところもあるのですが、親が思う以上に子どもは親の姿を見てくれているのかなと感じられて、ちょっと安心しましたね。

佐藤 茂(タメニー株式会社(旧株式会社パートナーエージェント) 代表取締役社長。以下、佐藤)

佐藤

私は先日、大学生の娘と仕事について話す機会がありました。大学の授業の一環で、仕事をしている身近な人に「なぜ今の会社で働いているのか?」「自分へのアドバイスは?」といった質問をする課題が出されたそうです。

娘から「私へのアドバイスは?」と聞かれ、かなり悩みました。社会を知らない学生に、何を伝えるべきか。考えに考え抜いて、シンプルに「人を喜ばせなさい」とアドバイスしました。

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私は仕事に全力を傾けていた分、子育てにあまり参加できませんでした。触れ合えるわずかな時間の中で「娘に何かを提供しなくては」と意識し、例えばスーパーの精肉売場を通りかかったら「100g 400円のお肉と600円のお肉があるけれど、この200円の差はどうして生まれたと思う?」と質問するなど、できるだけ娘に気づきを与えられるように努めてきました。

髙木 秀邦(株式会社髙木ビル COO(最高執行責任者) 兼 専務取締役。以下、髙木)

髙木

お2人のように、大人が生き生きと働く姿をもっと子どもに見せるべきだと思います。僕が子どもに髙木ビルの建設現場を見せるのも、自分が活き活きと働いている姿を見せたいからです。

僕は子どもだったころ、やりたいことをなかなか見つけられませんでした。けれどプロのミュージシャンとして全力で活動したこともありますし、今は不動産業を仕事にして活き活きと働いています。未来にはいろいろな可能性があって、どんどんチャレンジしていけるんだ――。そんなメッセージを伝えられれば、子どもはさらに活き活きすると思うんです。

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髙木ビルはこれまで、ビルなどの不動産開発・賃貸・管理などの事業を展開してきましたが、僕は今、髙木ビルの中で「BIRTH」というブランドを展開し、従来のビル経営会社の枠を超えたビジネスを始動させています。

2017年、東京・神田に次世代型フリーワーキングオフィス「BIRTH KANDA」を立ち上げたのを皮切りに、セッションを最大化するスペース「BIRTH LAB」を東京・麻布十番に2019年4月オープンしました。他にも「BIRTH」ブランドでホテルや学童保育といったサービスも提供できないか、議論しているところです。

自分で「髙木ビルはビル経営会社だから」という枠をつくってしまわず、新しい可能性をどんどん広げていくつもりです。

森本

「不動産」という括りにとどまらない仕事をしていらっしゃいますよね。

髙木

そうなんです。僕は子どもにも「不動産の仕事をしてほしい」とは一切言っていません。昔の僕のように「いずれ不動産の仕事をするんだ」と範囲を狭めてしまわなければ、未来には無限の可能性が広がっていくと思います。

育児をしないのは“もったいない”。仕事にも役立つ育児経験